毎年11月の第3日曜日にかかる週末に世界中からワイン業者やマニア、そして一般のワイン愛好家までブルゴーニュの伝統的なイベントのために集まります
お祭りとテイスティングのウィークエンド
路上でのスペクタクル、民族衣装をまとったパレード、グルメなスタンド、ボーヌ市内と畑の中を駆け抜けるハーフマラソン……期間中は様々なイベントが開催されます。一方、ボーヌの大手メゾン(ワインメーカー)各社も競うように特色のあるテイスティングを企画します。例えば、オスピス・ド・ボーヌのワイン、稀少ヴィンテージ、ブルゴーニュ全域のワイン、テーマ性のあるテイスティング、そして食べ物とのマリアージュを主とするテイスティングなどです。ボーヌ市と周辺の村ではヴィニュロン(小規模な個人生産者)が自社カーヴで直近の或いはバックヴィンテージをテイスティングさせてくれます。シュヴァリエ・ド・タストヴァン(ブルゴーニュ利き酒騎士団)はガラディナーとブルゴーニュワイン大使の叙任式を開催します。
競売会
ボーヌが最も熱くなる週末、クリスティーズが日曜の午後からボーヌ市の市場内で競売会を開始します。セリに出されるのは500年以上前から続くオスピス・ド・ボーヌに寄進されたブドウ畑から造ったワイン。トータル60ヘクタールにも上る所有畑のほとんどは、グランクリュとプルミエクリュに格付けされています。この競売会にはボーヌの大手ネゴシアンと世界各国のバイヤーが一堂に会し、世界の高級ワイン市場の動向を探るバロメーターとなっています。しかしながら、オスピス・ド・ボーヌは、慈善事業ということもあって一般的なワイン相場よりかなり高めに落札されています。
2007年から「クリスティーズ・ライブ」にて世界中どこからでもインターネットを通じて個人のパソコンから直接入札できるようになりました。競売会による利益は、オスピス・ド・ボーヌの維持費および病院の運営に使われます。競売会の終了後はオテル・デューの要塞の中で中世の雰囲気のままロウソクを灯したディナーが催されます。
チャリティ樽
オスピス・ド・ボーヌでは、毎年アーティストかエンターテイナーが代表を務める慈善団体を支援しています。実行委員会樽と呼ばれるワインのオークションでは、趣のある伝統的なローソクをハンマーの代わりに用います。収益金は慈善団体に寄付されます。
競売にかけられる樽は伝統的なブルゴーニュ樽で、一樽228リットル入り、ボトル約300本に相当
栄光の3日間
競売会を核として、「栄光の3日間」と呼ばれるまるでラブレーの世界のようなグルメイベントがブルゴーニュでは開催されます。栄光の3日間は、土曜日にシュヴァリエ・ド・タストヴァン(ブルゴーニュ利き酒騎士団)が主催するクロ・ド・ヴージョでの晩餐会「シャピートル」から幕を開けます。日曜日の競売会を挟み、幕を閉じるのはシャトー・ド・ムルソーでの午餐会「ポレ」。招待客が各自ワインを持ち寄って食事を共にするポレは、飾り気がなく和やかなブルゴーニュ人の象徴ともいえるでしょう。