フランスのワイン産地は各地が独自の格付けシステムを持っています。ブルゴーニュでは土地の名前がワインの名称となるため、テロワールの概念は非常に重要視されています(アルザスではブドウ品種名、ボルドーではシャトー名など)。
 ブルゴーニュのテロワールは“クリマ”で画定されています。クリマとはブドウ畑の区画のことで、数百年をかけて画定し、名づけられてきました。それぞれが歴史や土壌の特徴、気象条件の特徴など個性を持っています。

「フランス語でクリマというと通常“天気”を意味するため上を見上げるが、ここブルゴーニュでは“個性を持った畑の一単位”を意味するので足もとを見ることに」

ブルゴーニュのブドウ畑のユネスコ登録活動委員会長で小説家のベルナール・ピヴォー氏はこう語っています。

地方名ワイン

ブルゴーニュ全域のブドウ畑が対象で、ボトルに「ブルゴーニュ」と記載されています。
例:Bourgogne aligoté(ブルゴーニュ・アリゴテ)、Bourgogne Hautes côtes de Beaune(ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ)、Crémant de Bourgogne(クレマン・ド・ブルゴーニュ)など 

村名アペラシオン

44個のワイン栽培村が格付けされています。ラベルには、そのワインの原料となるブドウが栽培されている村の名前が記載されます。
例:Beaune(ボーヌ)、 Savigny les Beaune(サヴィニー・レ・ボーヌ)、 Auxey-Duresses(オーセイ・デュレス)、Saint-Romain(サン・ロマン)など。

Premiers Crusプルミエクリュ(1級)

 村名アペラシオンの栽培区域の範囲にはクリマと呼ばれるいっそう優れた品質の区画があります。例えばアペラシオンBeaune(ボーヌ)の域内に位置する"les Marconnets"(レ・マルコネ)という区画がプルミエクリュに格付けされています。
 アペラシオンBeaune(ボーヌ)はコート・ドール県最大の栽培区域を持ち、43の区画がプルミエクリュに格付けされています。
プルミエクリュはボトルにブドウを栽培する村の名前とともにAppellation 1er cru contrôléeと記載されていなくてはなりません(例:"Appellation Beaune 1er Cru")。この際、区画の名前までは明記されていない場合もあります。
例:Beaune 1er Cru « Les Marconnets »、 Beaune 1er Cru « Les Cents Vignes »、Volnay 1er Cru « Les Caillerets »、Pommard 1er Cru « Les Rugiens »、Meursault 1er Cru « Les Perrières »、Savigny-lès-Beaune 1er Cru « Les Peuillets »、Santenay 1er Cru « La Comme ».

グランクリュ

 ブルゴーニュワインの“華”グランクリュには、高い名声を誇る畑が格付けされています。Corton Grand Cru(コルトン・グランクリュ)など、畑は複数の村に跨っている場合もあります(アロース・コルトン村、ラドワ・セリニー村、ペルナン・ヴェルジュレス村の3村)。ボトルには"Grand Cru"と記載しなければなりません。
 クリマを明記することが可能なグランクリュもあります(例:Corton Grand Cru –Les Bressandesコルトン・グランクリュ・レ・ブレッサンド)
 コート・ド・ボーヌ地区には8つのグランクリュがあります:Corton(コルトン)、 Corton Charlemagne(コルトン・シャルルマーニュ)、 Charlemagne(シャルルマーニュ)、 Montrachet(モンラッシェ)、Chevalier-Montrachet(シュヴァリエ・モンラッシェ)、Bâtard-Montrachet(バタール・モンラッシェ)、Bienvenues-Bâtard-Montrachet(ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ)、Criots-Bâtard-Montrachet(クリオ・バタール・モンラッシェ)。
 ロマネコンティが一番有名なブルゴーニュのグランクリュでしょう。ほんの限られた人たちが年間平均生産量5980本のこのワインを手にすることができます。